東巴(とんぱ)劇場

東巴文字から東巴劇場へ

東巴(とんぱ)文字について

中国雲南省西部の麗江(れいこう)地区。
この地区に暮らす少数民族である納西(なし)族の人たちによって伝えられてきた象形文字の一種です。
現在唯一の「生きた」象形文字とされるトンパ文字は、納西族の中のトンパと呼ばれる司祭たちによって受け継がれています。

トンパ文字の起源は定かではありませんが、それらを含むトンパ文化は納西族の伝統文化です。彼らはトンパ教と呼ばれる原始宗教を信仰していて、トンパ文字と信仰は密接な関係を持っています。万物、自然崇拝を基本に、数多の神を崇拝対象としています。
彼らの世界観や自然観を表す手段のひとつがこのトンパ文字です。トンパ文字は人や動物、自然や神の表情豊かな姿をユニークに捉えます。

正確な意味を追求し思想や信仰心を深く究めようとすることも大事ですが、民族の垣根を越えて直感に訴えてくるものを楽しむ姿勢があれば、トンパ文字は誰に対してもとても広大で豊饒な世界を見せてくれる気がします。

東巴(とんぱ)劇場のこと

トンパ文字の探究は現在も盛んに行われています。国内外の専門家による学術研究はもちろんのこと、その文化に魅了された多くの人たちが各々のアプローチでトンパを愛好しているようです。

ここに「東巴劇場」と銘打って、ひとつの舞台を用意しました。この舞台の上に拘束はありません。トンパに対する好奇心、トンパに対する冒険心、トンパに対する愛情、それらを自由な形で表現できる場にしたいと考えています。そして「生きている象形文字」が持つ無限の可能性の片鱗に触れられたら尚嬉しいことと思います。

トンパ文字を自由に楽しむにあたって、あるいは伝統的な意味でのトンパのルールを無視してしまう場合があるかもしれません。しかし、すべてトンパを愛するが故の行為であることをあらかじめ断っておきます。本企画の冒頭宣言にも謳ってある通り、すべてのものに対する敬意はいつの時も忘れずにいます。その上で、新しい価値の発見や創造につながっていく道を見つけたい。こうした前向きな心もまた忘れずにいたいと思います。

第九幕

春の山のうしろから烟が出だした / 尾崎放哉(辞世の句)

第八幕

菜の花や月は東に日は西に / 与謝蕪村

第七幕

悪の凡庸さ / ハンナ・アレント

第六幕

御見のまま忘れねばこそ、思い出さず候 / 二代目 高尾太夫

第五幕

吾唯足知(われただたるをしる) / 京都 龍安寺 蹲踞(つくばい)に刻む

第四幕

豚に真珠(を投げやるな) / 新約聖書 マタイ伝 第7章

第三幕

書物なき部屋は魂なき肉体の如し / マルクス・トゥッリウス・キケロ

第二幕

来た 見た 勝った / ガイウス・ユリウス・カエサル

第一幕

心とはいかなるものをいふならん 墨絵にかきし松風の音 / 一休