目にする言葉と耳にする言葉の間にあるもの。
光として伝わるもの、音として伝わるもの、それぞれ心に残る形は違うでしょうか。
実験というほど大仰ではなく、ひとつの小さな試みとして、音としての言葉に耳を傾けてみましょう。
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声の主はテキスト読み上げソフトです。
技術の進歩は目覚ましく、ここまで柔軟に取り扱えるようになったことは驚きです。
さすがに生身の人間と比べるまではいきませんし、無機質な響きは否めず、また抑揚や発音などに幾らか聞き苦しい点もありますが、これはこれでなかなか味があってよろしいかと。
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ほんの余興程度にと気楽に構えています。
さて、音として発現する言葉の新しい世界に触れてみてください。
華奢で退屈なの(仮)
第一区、其一
男が胸や尻の大きい女を欲しがるのはわかる。
女だって、骨と皮だけのような乾いた風采の男より、肩や背中にしなやかな厚みのある体のほうが好きなのだから。
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第一区、其二
どこの分野にも例外が存在するのは誰にも好ましい。
実際のところ、私は残念ながら、体を目的として言い寄られる種類の女でないことは確かなので。
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第一区、其三
全員が酒を追加した。
そして全員、満足そうに喉を鳴らした。
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