豊富に数えられる文化活動の内、映像文化は歴史的に見て比較的若い部類に入るものです。
それでも、映写・映画に始まった映像文化はすぐに映画の枠を飛び出し、今では様々なメディアを通して日常的に触れることができます。
ひとつの文化の様態はいつまでも不変一定である必要はありません。
技術の進歩、時代や社会の要請、流行り廃りに影響を受け柔軟に形を変えていきます。
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映像の文化もまた同じです。
映像媒体の選択そのものが希少であった時代には、大勢でひとつの映像を共有して楽しみました。
それは単に映像を共有するだけでなく、時間や空間を共有・共感する文化でもありました。
それも時代とともに姿を変え、テレビの登場からインターネットの発明を経て、映像はごく個人的に楽しむことのできる対象になり、ついにはこれまでの受け手が作品の作り手になることもすっかり困難な話ではなくなりました。
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ただ過去を懐かしむわけではありませんが、通り過ぎた価値を簡単に忘れ去ることも寂しいものです。
まだ若い映像文化を少しだけ振り返りつつ、共有・共感の実体験から得られる趣きを思い出し、そこからさらに映像を楽しむ新しい形を見つけ出すことのできる、そういう場の構築を控え目ながら志してみたいと考えています。